052 96.07.22 「悪かったな子供で」
ハーフタイムとなった。
スコアは双方とも無得点。
すこし、望みが出てきた。いやあ、有給休暇をとっといてよかった。やっぱりこういうゲイムは生中継で観ないとね。とにかく、半分までは互角に戦ってる。ディフェンスは予想通り危なっかしいのだが、川口がなんとか0点に抑えてる。敗戦を前提に観ているので、嬉しいったらないですよ。しかしブラジルのディフェンス、あれ、破れるのか。
試合前にセンターサークルで前園とベベトがペナントを交換しているのを観たときには感動したなあ。夢にまで観たゲイムなのだ。「夢にまで観た」というのは形容でもなんでもなくて、事実なので呆れちゃう。
最初に観たのは二週間ほど前で、このときは5対1で楽勝した。2点目のアシストは右サイドからあがった私のセンタリングによるものだ。なにしろ夢なので、私も参加している。この夢の内容をともだちに話したら、えらく笑われた。子供みたい、ということであった。悪かったな子供で。
次に観たのは一週間前。このときは2対3で負けた。私はディフェンスで、ロベルト・カルロスの決定的なシュートを身体を張って止めた。この夢の内容もともだちに話したのだが、もう誰も相手にしてくれなかった。
そういう、高まる期待とともに、本日を迎えている。
それにしてもなぜ松下賢次が実況をやるのだ。参ったなあ。これは誤算だった。NHKの衛星放送ということで私に油断があったことは否めない。アナウンサーまでは調べていなかった。参った参った。私はTBSという放送局に好感を抱いていない。例のビデオ問題はどうでもいい。私はちっとも気にしていない。ひとえに松下賢次にスポーツ実況をさせるという点で、TBSの姿勢を疑っている。このひとをアトランタに派遣したことで、その疑いがますます強くなった。TBSはスポーツのことなんかどうでもいいと思っているのだ。
各局から派遣されたアナウンサーをどう割り振るんだか知らないけど、なにもサッカー中継に起用しなくても、なあ。バスケットのドリームチームとか、松下うわすべり実況にふさわしい場はあるだろうになあ。
おっと、後半が始まる。観なきゃ観なきゃ。
……。
はあ。
勝っちゃった。
あはははは。勝っちゃったよ。
いやあ、参った。ただいま、試合が終わりました。引き分けならわからないでもないが、まさか勝つとはなあ。ザガロ監督、解任か。
互角だった前半とは一転して、もう攻められっぱなし。ブラジルの鉄壁ディフェンスを破る必要はなかった。解答は実に簡単で、勝手に破綻するのを待てばよいのであった。バックとキーパーの連携ミスによる限りなく自殺点に近いゴールであった。伊東くん、ぼろ儲け。ブラジルのディフェンス陣、いつまでたってもボールが来ないので、だれちゃったのかもしんない。いやあ今日の試合は楽でいいわ、と悠然としてたとこに、突然ボールと城がやって来たので慌てちゃったんだろうね。御愁傷様でした。
いや、ほんと、今日はカイシャ休んでよかった。よいものを観させて頂きました。
次は、あさってのナイジェリア戦か。これも観たくなっちゃったなあ。仮病つかうか。でも、すぐにばれちゃうよなあ。
なにしろ、私は本日の休みをとった時の休暇届に「日本代表チームを応援するため」と書いてしまったのだ。
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