139 97.09.30 「親交の深かった」
今、「親交の深かった」と、確かに言ったよな、このNHKのアナウンサー。
びっくりぎょうてん。
それは、9月30日19時29分の出来事であった。
私の部屋において外界との窓口としてその存在を誇示するテレビ受像機が、池田満寿夫さんと佐藤陽子さんの関係をそのように告げたのであった。実際に告げたのは、「ニュース7」という報道番組でスポーツを担当するアナウンサーである。池田さんがデザインした長野オリンピックのTシャツがうんぬんかんぬんといった埋め草的なニュースにおいて佐藤さんを紹介するに際し、「池田さんと親交の深かった」などという意表をつく表現が用いられたのであった。
一瞬、私の脳裏は真っ白になった。
ゑ?
はにゃ?
違うんでないのそれは? 私はとりあえず、甲を画面に向けた右手をひらひらさせながら「おいおい」とツッコんでみた。
そりゃまあNHK的な見地からすれば、「内縁の妻」と表するには佐藤さんはジリツしすぎておるんだろうけども、だからって言うに事欠いて「親交の深かった」はないんじゃないの、いくらなんでも。
いつまで籍にこだわるのかなあ。そんなもん、便宜上のことなのになあ。なにかと不便が多いから戸籍を同じくするだけなんじゃないの、ふつう。なにかと便利だから同じ戸籍に登録するのであって、それはひとつがいの男女が夫婦であるかどうかとは別の話ではないの、ふつう。夫婦となることに、まあ婦夫でもかまわんけど、オカミが乱入する必然性はどこにもないもんなあ、ふつう。
ま、私のふつうは、世間とは違うみたいなんだけど。でへへ。
池田満寿夫さんと佐藤陽子さんは夫婦だと思うけどなあオレ。籍なんて些末的なことはともかくとして。
まあ、御二方は、夫婦なんてそんな平べったい関係ではない、とか言うのかもしれないけど。部分的な感性が極端に発達した方々は何を考えてるのかわからんからなあ。
NHKはこういうとこは無意味に考えすぎてて、やたらとおかしい。一緒にいたいから一緒にいただけの男女の関係を表す言葉を探しあぐねて、思いもよらぬ岸辺に漂着してる。「親交の深かった」かあ。何度も会議を重ねて、こういうケースはこうだ、みたいなマニュアルを作ってあるんだろうなあ。籍を入れていない女性が著名人だった場合の表記法。親交の深かったケースの池田さんと佐藤さん。って、お手打ちの政権交代劇みたいだけど。
ま、NHKだけじゃないのかもしれないけどね。民放のニュースを観てないので、まだわからんけど。只今、20時31分。
確かに、御二方の親交は深かっただろうなあ。ニュース原稿を書くひとの想像力を遥かに越えて。
なんにも、間違ってない。
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