072 96.10.11 「ハッスルする世界」

 ハッスルって、あなた。いくらなんでも、そりゃあなた、ちょっとアタマ悪すぎませんか。いや、その、どうも。いいんです、いいんですけどね。無関係の私がしゃしゃりでて口を挟むこっちゃないんですけどね、まあ、その、しかし、いくらなんでも、ハッスルはなかろう、と。
 新聞の最終面を漫然と眺めてたら、いつもはまるで興味がない午前8時以降にたまたま視線が行っちゃったもので、驚愕しているわけです。
 ワイドショウって、相変わらず元気なのね。あんなくだらない番組と怒る人もいるみたいですが、くだらなくない番組は面白くないんだからしょうがないのよね。私にはどこが面白いのか永遠の謎ですけど、私は常に、自分が望まないにも関わらず少数派に属してしまう癖があるんで、私の考えは、ま、どうでもいいですね。多数派には好まれているから、放送されているんでしょう。
 「松田聖子&正輝が娘の運動会でハッスル」と語るのは日テレ。「百恵さん・聖子・手塚理美愛児の運動会でハッスルママ」と伝えるのはフジ。テレ朝は「ハッスル」は使ってないな。もちろん、TBSは「や」。
 ハッスルなあ、ハッスル。過去からの亡霊ですね。まだいたのかハッスル。スタイリスティックスの衰退とともに死に絶えたはずでは。まいったなあ。
 わしもハッスルしちゃおうかな。う。ぞぞっと全身に鳥肌。
 テレビ欄というのは字数をいかに詰めるかの勝負とかいう話ですが、日テレはなかなか不思議なアプローチです。「松田」は余計なのでは。「聖子&正輝」で充分という気はしますが、なにか深謀遠慮があるのでしょうか。もっと少ない字数で効率的に語れそうに思えますが。「聖子正輝娘の運動会でも過剰な演技」くらいでいいんじゃないかなあ。
 フジのは味わい深いですね。さん付け、呼び捨て、苗字付き、という格差の嵐。「ハッスル」に「ママ」を付け加える悪どさもいい雰囲気です。これは添削できないっすね。フジの勝ち~。
 このネタは各局ともメインらしくて、「手塚理美息子とのダンスに真田欠席」(テレ朝)とか、「愛息運動会で百恵さん絶叫」(フジ)とか、いやはや、なるほどなあ。勉強になるな~。それにつけても、「ハッスル」が似合いそうな方々ばかりですね。さすが。今日び、「ハッスル」がしっくりくる方々は珍しいですよ。来年も頑張ってください。
 更につらつら眺めていると、やっぱり共通するネタはあるみたいで、「お留守番悲し……2歳幼女が洗濯機で水死」(日テレ)とか、「母は留守・2歳幼女が洗濯機でおぼれ死ぬ」(テレ朝)とか、なんだかえらい騒ぎです。私の中にかろうじて1%ほど残っている良心は「ひとが死んで、そんなに嬉しいの?」と呟いたりもしますが、99%を占める邪心は日テレに軍配を挙げますね。「悲し……」は、いい味だしてます。こんな表現に工夫を凝らすシゴトがあるかと思うと、同情に堪えません。ハッスルせざるをえないんでしょうね、さぞかし。
 そんな中で、日テレの「サル騒動」は気になるところです。なんの説明もない。サル騒動、ただそれだけ。いったい何があったというのでしょう。サル山の政権交代劇でしょうか。よくある話です。サルが人を噛んだのでしょうか。そのサルはなにをしたというのでしょう。気になるなあ。とってもとっても気になるなあ。
 どうでもいい話題の中で、唯一異彩を放ってます。
 「サル騒動」、いったいどんな騒動だったのでしょう。

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