063 96.09.18 「連休大直列」

 カレンダーの日付が赤くなっている日はオシゴトという方にとっては、なあにタワゴトをほざいてやがんだばかやろ、な話です。最初に平身低頭。
 今年は台風があんまり来ないなあ、外れ年なのかなあ、と思っていたら、連休の当たり年であることがわかりました。意外な伏兵でした。連休、なかなかどうして侮れません。
 いやあ、もうすぐ今年も終わりだというのにぜんぜん気がつかなかったなあ。そうだったのか。なんとなくカレンダーをしげしげと眺めてたら、惑星大直列みたいに連休だらけの一年なんだもんね。驚きました。連休眼に優れた私もさすがに気づきませんでした。振替休日やサンドイッチ休日あたりの在野勢力を総動員した結果、孤立した祝日は春分の日と体育の日の二日だけになっちゃってる。あとはぜんぶ連休。それでいいのかニッポン。
 ……いいよね。ね。ねっ。
 いや、その、なんだ、私はいいと思うんですがあ。
 もっとも、大当たりした翌日の打線はぱったり打てないというベースボール第三の法則によって、来年は壊滅的な状況を呈してます。虫食い状態。ぽつんぽつんと点在する赤い字。それはやだよねニッポン。
 さて、仲間外れになった二者の今後の身の振り方です。体育の日は木曜日で、土曜日も休みのひとは金曜日に休暇をとって代打満塁サヨナラ四連休という感動の大逆転劇が残されてるので、まだ救われます。更正の道は閉ざされてません。非を悔いて慎ましく暮らしていれば、いつかは連休愛好家の救世主として崇められる日も訪れるでしょう。
 そこへいくと、どうしようもないのが春分の日です。こともあろうに水曜日。なすすべもないとはこのことです。過ぎ去ったこととはいえ、この不始末は見逃せません。見逃しの三振は首脳陣が最も嫌うところです。こやつはもともとお天道様のなすがままに居所を変える性癖があって、年によって違ったところに出現する札付きの日和見主義者として知られてます。それが何をとち狂ったのか、他の祝日仲間に背を向けて今年に限って孤高の道を突き進んでしまったんですね。どこにでもいますね、こういう天の邪鬼なひと。うまく立ち回って見事に月曜の座を獲得した兄弟分の秋分の日を、すこしは見習って欲しいもんです。しかも、来年は木曜日。いささか反省の色が見えるものの、怪しいもんです。この腰の落ち着かない風来坊は、一度痛い目にあったほういいようですね、どうも。
 とはいっても、日付が固定されていない祝日という考え方には大いに学ぶべきところがあります。やがて制定される祝日にはぜひともこの思想を導入して頂きたいですね。それも、一歩推し進めて日付より曜日を重視する。やはりこれしかないでしょう。六月第一月曜日とか八月第三月曜日とかね。月曜がポイントです。かならず連休、ぜったい連休、なんてったって連休。振替休日にはもう頼らない、自立した祝日。立派です。祝日の鑑といえましょう。
 提唱してるひと、いっぱいいるけどなあ。でも、自分で思ってるほどいっぱいじゃないのかもしれない。自分もそう思ってるから目につくだけだったりしてね。意外に少数派なのかなあ。名目はなんでもいいからとにかく祝日を増やして派。
 まあ、同じ主張を持つみなさんは多いとは思うんだけど、こういうのは一大ムーブメントとしては盛り上がらないからしょうがないんですね。同志が団結して国政に積極的に働きかけよう、なんて動きにはなりません。
 だってほら、みんな怠け者だから。

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