12月23日 忘年会の夜
連休二日目。
バーテンダー業界にも会合というものがあり、忘年会が催された。横に連帯してもなんのメリットもない業種なので、単なる親睦会となっている。暇だったらみんなで一緒に飲まないか、といった調子で案内状が来る。
この席では、日本酒が飲まれる。幹事が安全策を選択した結果だ。間違ってもカクテルは出てこない。
久々に出席してみた。先週会った同業者にも何人か再会した。礼を述べ、顛末を報告する。
瓶詰めのカクテルが話題となった。サントリーが大量に出荷しているらしい。サントリーという企業に好印象を抱いているバーテンダーは珍しいので、いきおい辛辣な意見が飛び交う。
サントリーに対する私怨を排除した見解としては、無関心派が多数を占めた。
瓶詰めのカクテルについてどう考えるかと聞かれても、当惑以外の反応があるだろうか。バーテンダーを生業としている者にそんなことを尋ねられても困る。カクテルは、飲む直前につくるものだ。あれはカクテルという名のなにか他のものとしか言いようがない。その存在を否定はしないが、私達バーテンダーの視界には入らないものだ。なんの感想もない。
もちろんあの瓶詰めのカクテルにも長所はあるだろう。およそバーテンダーたる者ならばなんの興味も抱かないであろう長所が。
それはそれでいい。私達はそれを好んで飲む人々の邪魔をするつもりはない。私達はそれになんの興味もない。
ただ、それがカクテルだと思い込まないでほしいと切望するばかりだ。
議論の結果、以上が有志の総意となった。
諸賢の御理解を賜りたい。