12月22日 ふぐちりの夜
休日。クリスマスプレゼントを買わなければならない。
なにが喜ばれるのか見当がつかず、玩具売場で長時間思い悩む。
待ち合わせた喫茶店で、広恵に、購入した品を打ち明けると、呆れられた。もう、そんなものを喜ぶ年頃ではない、という。最後に目にしたときの姿しか記憶にないのがいけないらしい。広恵によると、彼は最近テレビゲームに耽溺しているらしい。
とまどった。私は、両親の決断を理解できずに無邪気に笑っていた彼しか憶えていない。
しょうがないわね。広恵が苦笑する。一緒にいるわたしだって、いつのまにこんなに大きくなったのかって呆れることがあるんだから。
そんなものかもしれない。
まあ、渡しておくわ。広恵はそう言って、見当違いのプレゼントの包みと今月分の養育費を、私から受け取った。
その後、ふぐを食べにいった。偶数月なので、私が奢る番だ。
奮発するじゃない、なにかあるの。相変わらず広恵は察しが早い。
私は、麗子のことを話した。
今度はうまくやるのよ、との、お言葉を賜った。
いや、今後のことを具体的に考えているわけではないんだが。私が口ごもると、広恵に叱られた。
そういうとこ、まだ直ってないのね。
うむ。まだ直っていない。
あとは他愛ない話を交わしながら、愉しい時間を過ごした。
ふぐちりの最後の雑炊は、つくづくうまい。