12月18日 卵酒の夜


 風邪の症状は悪化の一途を辿っている。
 悪寒が酷い。頭がぼんやりする。
 傍目にはなんともないように見えるのがせめてもの救いか。

 しかし、オーダーを受けたテキーラ・マティーニを失念していつまでたっても出さないという失態をしでかしてしまう。
 重症だ。情けない。

 昨夜も来ていた風邪ひきの常連が、またもややって来る。家で寝ていた方がよくはないのだろうか。
 彼は、一杯のんだら帰るからといって、ホット・エッグ・ノッグをオーダーした。
 なるほど。卵酒か。効くかもしれない。身体には効かないかもしれないが、精神には効くだろう。

 閉店後に、自分のためにホット・エッグ・ノッグをつくった。
 錯覚に過ぎないが、薬よりはましだろう。


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