12月30日 ぼんやりする夜


 早起きして、といっても午後二時だが、店に向かう。世間並みに大掃除くらいはしておきたい。
 午後十時頃、なんとか妥協できる情況になった。

 無人の店のカウンター席に腰を落ち着け、ターキーを飲り始める。
 ぼんやりと店内を眺めながら、どうでもいいことを考える。ピッチがあまり上がらず、氷がすぐに溶け、ロックがすぐに水割りになってしまう。

 飲むのはやめにして、カウンターの内側の定位置に戻った。
 オリジナルのカクテルをつくってみようと思い立つ。時々そういう衝動に駆られる。いくらでもつくれるが、大したものはできない。
 今回はロング・ドリンクを試みた。名前は既に決まっている。ぼんやり。
 つかみどころがなく柔らかい飲み口に仕上げてみたい。未開の地が拓けそうなアクアビット・ベースで挑戦する。コリンズ・グラスでなんとかしてみたい。ライム・ジュースに取っかかりがあった。
 その先で暗礁に乗り上げた。様々なリキュールを加えてみるが納得できない。そうこうしているうちにシャンパンでアタリが来た。あとひとつ。甘さを仄かに醸し出すなにかがほしい。
 フルーツを添えた方がよさそうだが、本体が決まらない以上、選択のしようもない。

 さんざん悩んだが、結局解決できなかった。来年への宿題だ。

 最後にギムレットをつくって、飲んだ。
 これが、今年最後のカクテルだ。


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