025 96.05.24 「そうだね、京都に行きたいね」

 JR東海の「そうだ、京都へ行こう」シリーズのテレビCMが放映されていない地域にお住まいの方には申し訳ないです。あれは関東でしかやってないかもしれませんね。ターゲットがもろに関東なので。要するに、東海道新幹線に乗って京都に観光に来てね、と言ってるわけです、JR東海が。京都の史跡の映像とともにそれらしいメッセージが語られ、「そうだ、京都へ行こう」とキメる。BGMは、「サウンド・オブ・ミュージック」より「マイ・フェイバリット・シングス」。最後にJR東海のロゴが出てきて、ジングル調にその企業名がアナウンスされる。ってのがパターンです。
 だいたい、京都というのは観光地の大御所で、あ、いや、大御所は京都のひとに怒られそうだな、ええと、太閤でもないし、ま、この列島でいちばんの観光地だと言いたいわけです。春の京都、夏の京都、秋の京都、冬の京都、どれもその四文字だけで堂々としたコピーになっちゃう。梅雨の京都だって、ハマっちゃう。かなわない。こんな観光地、他にないですよ。
 しかし、ほおっておいても観光客が来るかというと、そういうわけでもないらしく、観光地京都の恩恵を受けているJR東海としては、潜在的な顧客の発掘に余念がないわけです。「そうだ、京都へ行こう」。たしかに、行こうかな、と思いますよ。
 カネがあれば。
 行きたいですよ。
 でも、カネが。
 ないんだってば。
 ま、私のフトコロ具合はどうでもいいんですが、このコピー、ずっと使われてます。名作なんでしょう。「Discover Japan」以来のヒットですね。言ってることはおんなじです。再確認というアプローチ、効くみたいです。京都は、いちど行ったことがあるから、いいや。とは、言いにくいもんね。
 で、このシリーズ、そろそろ衣更えしてもいいんじゃないか、と提言するものであります。コピーはもちろん変えません。いつまでも過去の遺産に頼っていてもしょうがないだろう京都、みたいな~。
 会社の上層部とやりあっている長髪カーリーの男。現場を任されていたが、ソリが合いそうもない直属上司がやってくると聞いて、猛反発。じかに上層部にねじこんだもののラチがあかないので、辞表を叩きつける。変なアクセントで、「こんな会社、辞めてやるっ」。フェイドインする「マイ・フェイバリット・シングス」。場面は一転。高層ビルを背景に、その男がネクタイを外し、放り投げる。ひらひらと舞う緑色のネクタイ。男は、青空を見上げ、またまた変なアクセントでつぶやく。「そうだ、京都へ行こう」。
 やってくんないかなあ、JR東海とラモス瑠偉。今だったらハマると思うんだけど。
 最も必要とされないプレイヤーが最も必要とされるチームに移籍した、という点で、これ以上効率的な移籍はなかったわけで、いいと思うんだけどなあ。
 任天堂も「ラモスのエキサイティングサッカー」とかなんとか、そこそこ売れそうなサッカーがらみのゲイムソフトをひとつ販売できるようになったわけで、よかったですね。
 それにしても、京都~大阪間の立場はどうなってるんだろう。

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