12月29日 宿酔いの夜
酷い宿酔いの頭が私の身体の上に載っている。わずらわしい。取り外して一晩寒気に曝しておきたいと、切に思う。
部屋の大掃除をする予定だったが、とてもそのような体調ではない。胃袋もどうかしている。これも取り外して、頭と並べて戸外に置いておきたい。
布団にくるまってただ目を閉じる。眠ってしまえば楽だが、早朝に帰還してからたっぷり眠ってしまい、もはや睡魔はどこか遠いところへ去ってしまった。
他の様々な事柄と同様に、宿酔いを解決できるのは時間しかない。
悪いことに、麗子が現れた。
私の体たらくを一瞥し、溜息をつく。
麗子の宿酔いに対する見解も私とさほど変わりがないようで、役立たずはほおっておくことにしたようだ。
台所でなにか始めた。
その物音を聴きながら、ぼうっとしていた。日付が変わり、緩やかに時間が経ち、いつもなら店を閉める時間となった頃、ようやくものを考えられるようになってきた。
麗子に何をしているのかと聞いたところ、なにやら大仕事をしていることがわかった。おせち料理、などといった耳を疑う単語を口にしている。どうやら、正月をこの部屋で過ごすつもりらしい。
どうもこの間から、体調の不良につけこまれている気がしないではない。
それはそれでいい。心底では望んでいたような気もする安寧だ。仕方がない。目下の問題は宿酔いだ。
更に時が過ぎ、なんとか思い通りに身体を動かすことができるようになった。夜が明ける頃には持ち直していることだろう。
次第に、空腹を覚えてきた。すかさず消化のよさそうな料理が出てきて、思わず平らげてしまう。
そんな私を、麗子が頬杖をつきながら微笑んで眺めている。
どんどん弱味が増えていく。